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広がる不安 原発問題に新たな議論

福島第1原発の事故で郡山市に避難した女性が放射能検査を受ける Reuters

日本の観測史上最大のマグニチュード9.0を記録した東日本大震災。その余波はスイスにも達し、この数日間テレビなどによる報道の大半は日本の惨状を伝え続けている。

今朝3月14日の新聞では福島第一原発3号機の爆発の様子が大きく伝えられ、スイスの原発政策にも新たな議論が沸き起こった。

スイスの原発 厳しい監視

 13日のスイス国営テレビ、ドイツ語放送のニュース番組で、ドリス・ロイタルト環境・運輸・エネルギー・通信大臣はスイスの原発の安全性を強調した。

「スイスの原発は法律により非常に厳しく監視されている。スイスにある5基の原発はこれに基づいた検査を受けなければならず、その検査は確実に実施されている。そうでない原発は即座に供給網から外され、稼動を中止させられる」

 しかし、現状に満足しているわけではなく

「日本の原発事故を受け、将来に向けてスイスの原発のリスク計算が誤っていないかどうかを検証する必要がある。さらに、新しいリスクの存在も検証しなければならない。日本の事故原因が明らかになり次第、これらの査定にすぐに取り掛からなければならない」

 と続けた。

 スイスでは比較的地震が少ないが、政治家の間でも原発の耐震性の再確認を訴える声が上がり始めている。現在はベルン州に新しい原発の建設が検討されており、昨年1月に電力会社関連団体が行なったアンケート調査では、2000人以上の回答者の半数以上が建設に賛成した。しかし、これからは慎重派の勢いが伸びそうだ。

 この新原発に関しては、現在概則の審査が行なわれているところだが、14日朝、ロイタルト・エネルギー相はこの審査を当面中断すると発表した。また、連邦核安全監督局 ( ENSI/IFSN ) は現存の原発を対象に安全面の確認を急ぐ意向。

日本渡航に注意喚起

 連邦外務省 ( EDA/DFAE ) は13日渡航情報を発表し、日本の東北および長野県と新潟県への旅行を見合わせるよう勧告した。ほかの地域に関しても、観光や特に急を要する目的ではない場合は訪日を見合わせるよう勧めている。

 13日の前出のニュース番組で外務省のゲオルグ・ファラゴ氏は

「災害の後、日本の状況は非常に悪化した。インフラも全面的に影響を受け、交通路線も多く遮断されている。節電も行なわれており、日本での滞在や移動は大変難しくなった」

 と説明した。

 また、スイスの航空会社スイスインターナショナルエアラインズ ( Swiss ) は14日早朝、日本路線を当面の間、香港経由に切り替えると発表した。これまでチューリヒ13時発、成田11時発で運行されていた便は14日以降、チューリヒを18時に、成田を20時40分に出発する。3月11日以前に予約した3月20日までの便は、無料で予約変更や取り消しが可能だ。

スイス赤十字社

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オンライン:http://www.redcross.ch/aid/donations/international/detail-de.php?id=75

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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