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ヨーロッパ3位を誇る!?〜ルガーノのタクシー料金

お客を待つルガーノ駅前のタクシー swissinfo.ch

食べ物でもサービスでも、なんでも高いスイス。タクシー料金の高さだってもちろんですが、なんとこの小さなわが街ルガーノが、なみいる大都市を押しのけてヨーロッパ第3位に輝いたのだとか・・・。

 今年のスイスは記録的な暖冬です。南端の地ルガーノでは秋からほとんど雨が降らず、晴天が続いています。おかげでスキー場はどこも雪不足。子どもたちが所属しているスキークラブもゲレンデ探しに苦労しているようです。せっかくスキー用品をシーズンレンタルしているのだから、たくさん滑って元をとって!・・・なんてちょっと下世話な思いもありつつ、雪と寒さがこんなに待ち遠しい冬は初めてです。

 さて今回はお金つながりではありませんが、ご近所で話題になったニュースのお話です。イタリアの老舗新聞『Corriere della sera』によると、ヨーローッパのタクシー料金ランキングの1、2、3位をスイスが独占。なんとわが街ルガーノが第3位に輝いた(?)というのです。物価高で有名なスイス。いかにもという話題なのですが、こんな小さな街のタクシー料金がヨーロッパで3番目に高いということで、地元のテレビや新聞もこぞってニュースにとりあげました。

ティチーノでは、特定の車にしか駅などで停車してお客を待つ権利がありません swissinfo.ch

 気になるランキングの内訳は、1、2位が同料金で5kmあたりの平均23.90ユーロ。スイス最大の都市チューリヒ、そしてスイス・フランス・ドイツの三国が交わる交通の要所バーゼルです。次いで3位はわが街ルガーノ、5kmの平均22.10ユーロ。4位以下はアイルランドの首都ダブリン(19.25ユーロ)、5位に北欧の代表的な都市コペンハーゲン(16.05ユーロ)、6位に世界都市ロンドン(14.33ユーロ)と続きます。ルガーノ以外はどこも大都市ばかり! 東京のタクシーと日本円で比較すると、東京が5kmあたり約1700円のところ(渋滞なしの場合)、ルガーノでは約2900円もかかる計算になります。

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 ルガーノは小さいながらリゾート地として知られた街ですから、多少は観光地料金になるのも仕方がないと思いますが、それにしても高い。高すぎです。こんなに高いタクシーいったい誰が使うの? というのが、我々庶民の感想。近所の友人は「ルガーノのタクシーを使ったのなんて、もう25年も前よ」と言います。赤ちゃんだった娘さんが突然高熱を出して、救急病院に駆け込んだのだとか。別の友人も「高齢のお母さんが使うことはあっても、私が使うなんてないわ」と。実は一度もルガーノのタクシーには乗ったことがないという人もいるくらいです。

新制度の導入でルガーノのタクシー料金は値下がりしてくれるでしょうか? swissinfo.ch

 そもそもティチーノ州のタクシー制度は他の州と異なっていて、「前時代的だ」と以前から問題になっていました。特定の車にしか駅などで停車してお客を待つ権利が与えられていなかったり、タクシー運転手になるための研修や試験などの制度が整備されていなかったり。領収書がきちんと発行されないなんてことも、ままあるようです。こうした問題を解決するため、今年6月1日からタクシー制度が大幅に改正されます。これが値下がりに繋がるのかは分かりませんが、新制度の導入にあたり聞かれた「市民にとってタクシーがあまりに贅沢なものになっている」という言葉に、我々庶民は大いに頷いたもの。タクシーがちょっと贅沢な乗り物なのは当然ですが、驚きのあまりお財布を落としそうになるような料金設定は少し改善されるといいのだけどと思います。

奥山久美子

神奈川県生まれ、福岡県育ち。都内の大学を卒業後、料理や栄養学を扱う出版社に就職。雑誌、書籍の編集業務に携わる。夫の転職に伴い、2012年からイタリア語圏ティチーノ州に住む。日本人の夫、思春期の息子2人の4人家族(+日本から連れてきた猫1匹)。趣味は旅行、読書、美味しいものを見つけること。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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