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フェデラー 地元バーゼルで錦織を破って優勝

ワイルドカードでスイス・インドアーズに初出場した錦織圭。フェデラーの地元でフェデラーとの決勝戦に臨んだ Keystone

昨年に続く5回目の優勝。現在ATP世界ランキング4位のロジャー・フェデラーは、幼いころから親しんできた地元バーゼルの大会、スイス・インドアーズ(Swiss Indoors)での優勝に泣いた。

決勝戦の対戦相手は日本のエース、錦織圭(にしこり けい)。21歳のホープは、世界ランキング32位だ。1-6、3-6と完敗だったが、「夢がかなってうれしい」と喜んだ。

 11月6日午後、試合は錦織のサーブで始まった。出だしはまずまずと思わせたが、フェデラーは第1ゲームからいきなりブレーク。錦織は出鼻をくじかれた。

錦織の目標

 試合開始直前、錦織はスイス国営テレビ局ドイツ語放送のインタビューで「フェデラーとの対戦は常に僕の目標だった。彼をとても尊敬している」と話した。そのフェデラーを相手にした決勝で、緊張のせいか、錦織には正確さが欠けた。

 しかし、試合が進むにつれ、サーブも決まり出し、俊足でボールに食いついた。だが、フェデラーはサービスゲームで錦織にポイントを許さず、わずか28分で第1セットを獲得。

 第2セットは見ごたえのある場面が増え、錦織が攻勢をかけるシーンも見られた。ラリーも続くようになったが、錦織は第6ゲームをストレートで落とし、フェデラーが4-2とリード。

 5-3で迎えたフェデラーのサービスゲームでは錦織がリードし、初めてのブレークチャンスも得たが、フェデラーはロングラインを決めるなど、安定したプレーでそのままストレート勝ちを収めた。試合開始から71分後だった。

フェデラーの感涙

 これはフェデラーにとって今年2回目の優勝だ。年初のドーハ大会以来、10カ月ぶりに優勝カップを手にした。試合後の勝利者インタビューでは感極まり、観客に向かって「来年また会いましょう」という最後の言葉が涙で震えた。

 しかし、これは久しぶりにやっと手にした優勝のためではない。チューリヒの日刊新聞「ターゲス・アンツァイガー(Tages Anzeiger)」でフェデラーは次のように語っている。「バーゼルはほかの大会とは比べられない。今シーズンの中でも、とても特別な大会の一つだった。地元での優勝が一番多いのは素晴らしいことだ」

錦織への評価

 また、対戦相手の錦織について「彼はとても俊敏で、今回の大会出場者の誰よりもよくボールに手が届いた。才能があるし、手の動きも速い。そして、自分にできることとできないことをよく見極めている。精神力も強いようだ。集中力が素晴らしい。それに、彼は大舞台が好きだ。もうトップ20にも近いし、トップ10も夢ではないと思う」と称賛する。

 フェデラーは錦織をよく知っている。錦織は4年前、マイアミでフェデラーの練習相手を務めたことがあるからだ。スイス・インドアーズ初参戦で決勝まで進んだホープ錦織をスイスのマスコミも高く評価する。

 フェデラーの地元の日刊新聞「バーズラー・ツァイトゥング(Basler Zeitung)」の電子版「Bazオンライン」などは、肩を故障した世界No.1のノバク・ジョコビッチを準決勝で錦織が破ったことについて、次のように評価する。「しかし、ジョコビッチの敗戦は、けがだけによるものではない。錦織は2セット以降力強いプレーをした。ミスはほとんどなくなり、どの判断もほぼ正しかった。ネット前からの攻撃やフォアハンドのリターンのいくつかは見ものだった」

1981年8月8日生まれ

ATPランキング4位

2011年優勝回数 2回

2011年戦績 54:12

これまでの優勝回数 68回

グランドスラム 16回

スイスインドアーズ優勝 2006年、2007年、2008年、2010年、2011年、

今回の対戦相手 1回戦ポティト・スタラーチェ(イタリア)、2回戦ヤルコ・ニエミネン(フィンランド)、準々決勝アンディ・ロディック(アメリカ)、準決勝スタニスラス・ワウリンカ(スイス)、決勝 錦織圭(日本)

1989年12月29日生まれ

ATPランキング24位

2011年優勝回数 0回

2011年戦績 36:21

これまでの優勝回数 1回

グランドスラム 0回

スイスインドアーズ優勝 なし

今回の対戦相手 1回戦トマーシュ・ベルディハ(チェコ)、2回戦アンドレアス・セッピ(イタリア)、準々決勝ミハイル・ククシュキン(カザフスタン)、準決勝ノバク・ジョコビッチ(セルビア)、決勝ロジャー・フェデラー(スイス)

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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